この病態のため髄膜播種の予後はとても悪い。無治療だと、その生存期間中央値は4~6週間。治療例で2~3カ月とされます。
体のどこかにできたがんが、脳に転移したのが転移性脳腫瘍です。全がん患者のうち10人に1人が脳転移を起こし、その50%が肺がん由来で、15%が乳がん由来。転移性脳腫瘍との関係においても、肺がんの治療はとても重要です。
転移性脳腫瘍患者の死因を検討した結果、元の肺がんが原因となったのがほとんどで、転移性脳腫瘍が直接の原因となったのは15%に過ぎませんでした。そのうち80%が髄膜播種です。
つまり、転移性脳腫瘍でも、脳の実質にとどまる脳転移なら、命に影響しないことがほとんどということ。この差は、とても大きい。私の患者さんでも、脳転移が単発か少数の方は長期生存どころか、治癒したケースもあるのです。脳転移と髄膜播種とは、別の病気といってもよく、脳転移は治療で制御可能ということなのです。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵