Dr.中川 がんサバイバーの知恵

「陽子線超小型装置」普及で広がる治療の可能性 江戸川病院で1号機導入へ

超小型陽子線がん治療装置(提供写真)

 たとえば、小児がんをX線で治療すると、循環器や呼吸器、腎臓、生殖器などへの影響が問題になりますが、陽子線はそのダメージがほとんどありません。また、肝臓がんの中で、門脈という重要な血管に腫瘍があるタイプは、ほかの治療が困難ですが、陽子線は有望です。早期発見が難しいすい臓がんでは、臨床試験での2年生存率がX線を上回っています。

 導入施設が増えると、保険適用になるがんの種類も増えるでしょう。今後に期待です。

3 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事