名医が答える病気と体の悩み

認知症の非薬物的療法にはどのような効果があるのか?

昔の写真を見ながら会話するのもいい(写真はイメージ)

「音楽療法」は、音楽を聴いたり楽器を演奏したり歌う行為を通して、リラックス作用をもたらすアプローチです。認知症患者さんが音楽を楽しむ能力は最後まで保たれるといわれています。高齢者施設の顔見知りメンバーで一緒に歌ったり楽器を奏でることで、気分が高揚し、社会性も身に付きます。イライラや幻覚などによるストレスが軽減し、攻撃的な行動や集中力低下の改善が期待されます。患者さんが若い頃に好んでいた歌謡曲のCDを流したり、楽器を演奏するならタンバリンやマラカスといった振るだけで簡単に使えるものがいいでしょう。

「運動療法」は、運動機能を維持するために最も必要なアプローチです。有酸素運動のウオーキングやストレッチ以外に「ながら作業」がおすすめです。たとえば、足踏みしながらクイズに答えたり、椅子に座る↓腰を上げるを繰り返しながらしりとりゲームをします。筋力の低下を予防しながら、脳の血流も促すのです。とくに軽度の認知症患者さんの症状抑制や発症前の予防にも効果が期待されています。オーディオブックを聞き流しながら家事やウオーキングをするのもいいでしょう。

2 / 3 ページ

関連記事