老親・家族 在宅での看取り方

長く病院とは無縁だが急に体調を崩し慌てて「在宅」を開始するケースも

写真はイメージ

 先日も地域包括支援センターから、嘔吐し、歩行困難で、食欲不振の患者さんがいるとの連絡がありました。奥さまと2人暮らしの75歳の男性。急ぎ、自宅に伺いました。

「こんにちは。ご飯全然食べてないですか?」(私)

「昨日、おかゆ3口と野菜ジュースをコップで2杯飲みました」(妻)

「お薬は飲んでいますか?」(私)

「飲んでないんです」(妻)

「糖尿が少しあるとお聞きしたんですが……。そういったお薬も飲んでないですか?」(私)

 なんの事前の準備のないまま、とりあえず在宅医療を紹介されたといったご様子でした。

「吐いたのは?」(私)

「先日でした」(妻)

「どういうものを吐きました? 黒かったり赤かったりは?」(私)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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