老親・家族 在宅での看取り方

長く病院とは無縁だが急に体調を崩し慌てて「在宅」を開始するケースも

写真はイメージ

「黒かった」(患者)

「健診とかは?」(私)

「行ってないです」(妻)

 衰弱しているご様子。しかし患部はどこか、問診で手探るしかない。私たちも戸惑いを隠せませんでした。しかし、患者さんにとってなにが一番必要で、どうすれば安心できるのかを考えたのでした。

「血液検査で肝臓が悪いとか貧血があるとかはわかります。ただ、病院で画像検査での精査はした方がいいかもしれないですね」(私)

「そうですよね」(妻)

「今のこの状態なら、奥さまが付き添ってどこかの病院に行き、検査を受けて、そのまま入院した方がいいかと思うんですが」(私)

「そうですか」(妻)

「今、病院に確認してもらっているんですけど、入院が必ずできるわけではないので、そこはご了承ください」(私)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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