長引く息苦しさや発熱の正体は「薬剤性間質性肺炎」かもしれない

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 だが、コロナ禍での発熱でなかなか専門医にたどり着けず、大学病院の呼吸器外来を受診するまでにかなりの時間を要した。CTやレントゲン、血液検査などの結果、薬剤性間質性肺炎と診断された。診断が下るまで1カ月ほどかかってしまった。幸い、薬の服用を中止したことで現在は症状は落ち着いている。

「池袋大谷クリニック」の大谷義夫院長が言う。

「2002年、分子標的治療薬であるゲフィチニブによる薬剤性肺障害の報告以降、多数の分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬が新たに出てきたことで、薬剤性間質性肺炎の患者数は年々増加傾向にあります」

 実際、医薬品医療機器総合機構(PMDA)によると、現在、肺障害や間質性肺炎を引き起こすとされる薬剤は300品目以上にのぼり、1400件以上もの症例が報告されている。また、2019年にPMDAによって公表された被疑薬の内訳は、多い順に抗がん剤、抗リウマチ薬、漢方薬、消炎鎮痛薬。全体の半数以上を占めるのが抗がん剤であるものの、漢方薬や消炎鎮痛薬といった身近な薬も挙がっているから驚きだ。

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