認知症を予防する補聴器のすべて

補聴器は買えばOKではない 資格を持った専門家の調整が大事

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 お持ちの補聴器を拝見すると、調整ができない簡易的なタイプ。補聴器は調整が重要であることを伝え、まずは貸し出しで試してもらい、3週間ほど毎週調整に通っていただきました。購入後も調整を重ね、2週間後に行った和歌山旅行の旅先では、これまでは聞き取れなかった、不意にかけられる何げない会話をいろんな人と楽しんだと言います。今では「補聴器の調整を頑張ったから、こんなに活動的に過ごせる。人生が楽しい」と喜んでいただいています。

 前述の調査では、日本の補聴器の全体の満足度は50%で、認定補聴器技能者の調整を受けた場合は64%。欧米諸国では満足度70%以上ですので、日本でのこの数字はもっと伸ばせるはずです。

 2020年、国際アルツハイマー病会議の委員会で「予防可能な40%の12の要因の中で、難聴は認知症の最も大きな危険因子である」という指摘がなされました。世界に先駆けて超高齢社会を迎えている日本では、「高齢者と難聴」の問題は、「認知症と難聴」の問題とも相まって喫緊の課題です。補聴器を使いこなすことの一助に私たちももっと尽力するよう姿勢を正す調査結果となりました。

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田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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