老親・家族 在宅での看取り方

3世帯住宅に住む90歳夫婦 夫は要支援、妻は要介護の状態で…

在宅医療の果たす役割は大きい

「まだ病院から詳しい情報はもらえてなくて」

 私たちが最初にその患者さんのご自宅に伺った時に開口一番そう訴えたのは、患者さんご夫婦の娘さんでした。3世帯住宅にお住まいの共に90歳のご夫婦。要介護1認定の奥さまは「脊柱管狭窄症」と「肺挫傷」を患い、要支援認定の旦那さんは昨年10月に「脳挫傷」と「頭部外傷後てんかん」と診断されました。

 もともと会員制のクリニックに通院されていたとのことですが、旦那さんが犬の散歩中に転倒。頭部をけがし、その病院に搬送されたことをきっかけに夫婦そろって在宅医療を導入することを決めたといいます。

「事故か何かで頭をけがされたんですよね」(私)

「はい、犬の散歩中に。病院に搬送されて治療されまして、それでてんかんと診断されて、抗てんかん剤のイーケプラを飲んでいます。しばらく飲みましょうってことで、それで異常がなければやめましょうって言われています」(娘)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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