老親・家族 在宅での看取り方

86歳心房細動の男性「悪化リスクはあってもできる限り家にいたい」

ベストではなくベターを目指す(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 地域包括支援センターの紹介で、先日から私たち診療所が訪問するようになった86歳の男性。奥さまと2人暮らしで、心房細動と非結核性抗酸菌症を患っていました。心房細動は、心房といわれる心臓の上の部屋が小刻みに震え脈が不規則になり、動悸、息切れ、倦怠感などの自覚症状をきたす病気です。また、非結核性抗酸菌症は、土やホコリなどの中にいる非結核性抗酸菌で起こる病気で、咳、痰に発熱などの症状が見られます。

 もともと某大学病院に通院されていたのですが、歩行が困難な上に、病気の影響で脚が腫れ、息苦しさもあり、通院を断念。入院ではなく在宅医療に、となったのですが、どうやら理由はそれだけではないようでした。

「もう入院はしたくないな……。あのS先生、なんかピンとこないんですよね。言っていることが。いつも同じような検査をして、同じようなことを言って、時間ばかりが経って。なのに予約の時間を3~4時間も平気で取らせて」

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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