医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

糖尿病は生活習慣病から遺伝子病へ 診療と治療は今後どう変わるのか

ウエアラブル計測機器が切り札に(写真はイメージ)

「1型より2型の患者さんがずっと多いため、糖尿病といえば生活習慣に関係する病気と思われがちですが、病気のなりやすさや発症には遺伝子が強く関係していることが明らかになりつつあります。2035年までには発症に関係する遺伝子がすべて特定され、それに関連した検査、診断、治療が行われ、2040年ごろには糖尿病は臨床上、解決できている可能性があります」

 すでに1型については15以上の遺伝子領域が、2型についても10種類以上の遺伝子領域が糖尿病発症に関与していることが解明しつつあるという。しかし、遺伝子が同じ双子でも糖尿病になる人とならない人がいる。そのため、遺伝子の塩基配列の変異以外のメカニズムで遺伝子の変異を制御して生体に変化をもたらす「エピジェネティクス」の研究が注目されている。食事や運動など、どういうときにその現象が起きて糖尿病を発症させるのかの研究も進んでいる。

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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