医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

診断支援アプリとウエアラブル機器が脳梗塞の治療や予防を変える

超急性期の治療が不可欠

「2019年施行の『健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法』の下で整備が進められている一次脳卒中センターの運営には、必ずしも常勤専門医の立ち会いやMRI検査が求められているわけではありません。つまり、今も非専門医でもt-PA血栓溶解剤を投与する道を閉ざしているわけではないのです。専門医不足を考えれば、今後はその流れが強まると思われます。ただし、t-PA血栓溶解剤による治療は非専門医には難しい面もあるため、脳卒中診断を補助するための人工知能(AI)や画像診断支援といった技術開発が進むと考えられます」

 すでに、スマホを使った支援アプリが開発されているほか、頭部CTについてはX線を通しにくい高信号領域と、通しやすい低信号領域を強調することで脳の出血や虚血を見分けやすくするソフトが開発・実用化されている。

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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