老親・家族 在宅での看取り方

90歳のがん患者「長生きの家系なので治療しなくてもいいだろうって」

写真はイメージ

「今はこの階に奥さまと住んで、下の階には息子さんが住んでらっしゃる?」(私)

「2世帯です」(患者)

「他にご家族はいらっしゃるんですか?」(私)

「日本にはいないです。娘が海外に」(患者)

 在宅医療なら生活スタイルが制限されることも最低限で、患者さんが好きなように気兼ねなく生活できる--。こうお伝えすると自然と和やかなムードに。

「最初は膀胱の手術を2回して。その後に腎臓がんができちゃって、年齢もあるから手術はしない方がってことで、点滴の抗がん剤をしたんですけど、副作用が結構あって、つらいのでやめたんですよ」(妻)

「そういう判断もいいですね」(私)

「長生きの家系なので治療しなくてもいいだろうって」(患者)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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