上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

AIによる診断と治療はいずれ人間の医師を超えるだろう

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 このままテクノロジーが進化していけばAIは医師よりも正確に病気を診断し、人間より優れた手術を行えるようになる可能性は高いと考えます。5年から10年先にはAIによる診断と治療はごくごく当たり前になっているでしょう。

「ChatGPT」と呼ばれる対話型AIの進化は、その根拠のひとつといえます。実際、米国の研究では、健康についての約200件の相談に対する回答を専門家が評価したところ、79%は人間の医師よりもChatGPTのほうが正確で質が高いと評価したのです。

■人間らしく生きる時間を増やす助けにもなる

 こうしたAIの急速な進歩に、米テスラ社CEOのイーロン・マスク氏らは警戒する発言をしています。AIに仕事を取って代わられる人間が大量に出るだろうという意見もあります。たしかにそうした一面はあるでしょう。しかし私は、AIはわれわれが人間らしく生きる時間を増やすために役立ってくれるのではないかと考えています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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