医療だけでは幸せになれない

マスクの効果を評価したランダム化比較試験 0.3ポイントでも条件が変われば…

日本はお国柄、比較的にマスク着用に抵抗がない(C)日刊ゲンダイ

 もともとマスク着用に抵抗がある国では、マスクを勧められてもしない場合も多く、マスクの効果を過小評価する結果が出やすい面がある。

 もしこの研究が日本で行われたならばマスク推奨群では100%近い着用が実現されたかもしれない。ただマスク非推奨群も結果的にはみんなマスクをしていたという可能性もあり、研究そのものが成り立たない可能性も高い。これから新たに日本でマスクの効果を検討するためのランダム化比較試験の実施は無理というのが現実である。

 日本の研究でないから意味がないというような意見も聞かれるが、それは困難だ。諸外国の研究をどう参考にするかというのが現実的な対応である。

■結果解釈のむつかしさ

 さらに結果の方も少し違った角度で見てみよう。

3 / 4 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

関連記事