老親・家族 在宅での看取り方

不眠で悩む80歳男性「今日も耳鳴りと演歌がずっと聞こえる」

患者さんやご家族の生活スタイルを尊重

 急ぎで在宅医療を開始してもらいたい方がいるんです──。ケアマネジャーさんからそんな連絡をいただいて、訪問するようになったのが、不眠と軽度腎機能低下、そして認知機能の衰えが見られる80歳の男性。弟さんとふたり暮らしの方です。

 ケアマネさんによれば、とにかく眠れない。通院していた病院のかかりつけ医から、睡眠導入剤を1カ月分と限度いっぱい処方されていたのですが、それでも夜中に眠れず、不安を訴えるとのこと。さらに弟さんの話では、昼間寝ている時もあるようだが、近ごろは歩くのも大変になってきているよう。在宅医療で心療内科の方も診てもらいたいとのご要望でした。

「眠れなくてイライラして、耳鳴りもするので、お薬が効かないからって自分の判断で多めに飲んじゃっているみたいです」(ケアマネ)

 患者さんやご家族から話を伺うのと並行して、ケアマネさんから患者さんの様子を伺うことはよくあります。それによって、より客観的な情報を得られるからです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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