がんと向き合い生きていく

抗がん剤では80%の患者に脱毛が起こる…見た目の変化が苦痛に

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 とても気の毒に思いました。過度なストレスを抱えていることに、最初は本人が気づかなかったようで、たちまち全身に及んだようでした。髪の毛は、その人の容姿を一変させます。

 先輩のM医師は、研究に診療にとても優秀な方で、若くして某大学の教授になりました。しかし、それから4年後、彼に会ってびっくりしました。髪の毛がないだけでなく、眉毛は描いたものでした。回復するまでに2年以上はかかったと記憶しています。とても苦労されたと思います。

■再生後の髪質に変化がある場合も

 円形脱毛症もまれではなく起こり、自己免疫反応、精神的ストレスとの関係が指摘されています。治療法として、精神的ストレスの場合は、ストレス発散、生活習慣や食生活の改善、頭皮マッサージ、育毛剤の使用などが考えられます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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