高齢者の正しいクスリとの付き合い方

クスリの包装シートが手で簡単に1錠ずつ切り離せない理由

1錠ずつ切り離すのは危険

 クスリを薬局で「一包化」(1回に服用する錠剤やカプセルが1つの袋にまとめて入っている)された状態でもらっている方もいらっしゃると思いますが、ほとんどの人は1種類ずつ「シート」でもらっているのではないでしょうか。錠剤やカプセルを指で押し出して服用するクスリのことで、多くは10、14、21錠(カプセル)ずつ包装されています。このシートのことを「PTP(Press through pack)シート」といいますが、ここにさりげなく重要な工夫がされていることについてお話しします。

 一度、ご自身のクスリを見ていただくとわかるように、PTPシートはある程度、手で簡単に切ることができるようになっています。でも、PTPシートを1錠(カプセル)ずつ切り離すためには必ずハサミが必要で、手では切れないようになっています。つまり、手で切り離す場合はどう頑張っても2または7錠(カプセル)ずつになります。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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