ずいぶん前のことですが、カフェインが抗がん剤の効果を増強させるのではないか、マウスを用いてがんに対するその効果についての実験を行ったことがありました。結果は、そのような傾向はみられたのですが、臨床的研究までは進めませんでした。
抗がん剤はがん細胞の遺伝子を損傷させ、がん細胞にダメージを与えますが、DNAを修復させて生き延びる細胞もあるわけです。カフェインはそのDNA修復を阻害し、抗がん剤の効果を高めるのではないか、というのがその理屈です。
コーヒー以外の飲み物でも、がんのリスクが減るといわれたことがありました。1970年ごろ、「紅茶きのこががんに効く」というブームがあったのです。当時、近所に住んでいた叔母さんが、よくこの話をしていたのを思い出します。しかし、明らかな科学的根拠はなく、たちまち茶の間の話題から消えました。最近は、科学的根拠が重視されるようになったためか、この手のブームはなくなったようです。
がんと向き合い生きていく