老親・家族 在宅での看取り方

骨髄異形成症候群の男性「自分の最期は自分でわかっている。もう輸血はしません」

写真はイメージ

 その方は、海の好きな70歳の男性。海辺の別荘で、奥さまと老後の時間をゆっくりと過ごすことが好きでした。

 貧血症状を自覚し始めたのは、2020年夏ごろ。その年の11月に大学病院を受診したところ、造血幹細胞に異常が起き、正常な血液細胞が作られなくなる「骨髄異形成症候群」との診断。毎週1回通院し、輸血を受けることになりました。

 当初は2単位(1袋)の輸血で安定していましたが、徐々に体が衰弱していき、通院が困難に。21年3月から、当院の訪問による在宅輸血に切り替わりました。22年8月には、貧血の進行で、輸血が毎週4単位(2袋)必要に。

 骨髄異形成症候群はいろいろな病型がありますが、この方の場合、白血病へ徐々に移行していきました。倦怠感、味覚障害、乾性咳嗽も出現。白血病化の進行に伴い、発熱も繰り返すようになりました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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