老親・家族 在宅での看取り方

患者のわがままに振り回されつつも在宅医療を進めていく

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その方は、旅行中に脳卒中を起こし、救急搬送。旅行先の病院で入院し治療を受けていましたが、回復期のリハビリで東京の病院へ転院。その後、自宅へ戻られてきた70代の男性。お一人暮らしです。

「先生たちが来ること知らなかったよ」(患者)

「あら、そうだったんですね」(私)

「お薬もらっているからさ、ちょっと(処方の)情報見てよ」(患者)

「拝見しますね。血圧とかも測りますね」(私)

 もともとのこだわりの強い性格に、脳出血後の高次脳機能障害が加わり、どちらかというと付き合いづらい人に……。

 在宅医療を導入するにあたり、ケアマネジャーさんをはじめとした周囲のスタッフからは、「人の言うことを聞かないクセのある人」と報告を受けていました。

「月にいくらぐらいかかるか概算出してもらいたいんだよね。お弁当も頼むし、そのほかお買い物はヘルパーさんに頼むでしょう? それに薬のお金もあるし診察もある。ヘルパーさんのお金もあるからね」(患者)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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