役に立つオモシロ医学論文

真夏の暑い日には差別的なツイートが増える…40億件の投稿を分析

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 温暖化をはじめとした気候の変動は、二酸化炭素の排出量増加など、人間の生産活動が主な原因だと考えられています。気候変動はまた、人間の性格傾向にも関連している可能性があります。特に高温環境では、暴力性や攻撃性が増すことを報告した研究も多く、アフリカにおける内戦の発生率も気温の異常と関連していることが指摘されています。

 インターネットが普及した現代社会において、気候変動に関連した暴力性の増加は、デジタル環境でも広がる可能性があります。とりわけインターネット上の誹謗中傷は、重要な社会問題として注目されています。そのような中、気温の変化とヘイトスピーチ(特定の人種や民族への差別的発言)の関連性を検討した研究論文が、地球環境と人の健康に関する専門誌の2022年7月号に掲載されていました。

 この研究では、2014~20年の間に、米国内の773地域からツイッターで発信された約40億件のツイート(ツイッターへの投稿文章)が分析対象となりました。ツイートの文章パターンをコンピューターで解析し、ツイートが発信された地域の気温変化とヘイトスピーチの関連性が解析されています。

1 / 2 ページ

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事