以前、「ナノボット」と呼ばれるナノメートル(10億分の1メートル)サイズのロボットを患者の体内に注入し、血管内の「プラーク(粥腫)」を取り除く治療法の開発が進んでいる話題についてお話ししました。今回は、そのプラークについて詳しく取り上げます。
プラークというのは、血管の内皮細胞に余分なLDLコレステロールなどが蓄積してできたかゆ状の瘤のことです。動脈硬化を促進させる一因となり、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤、大動脈解離といった心臓疾患につながる代表的な危険因子です。
動脈の内側の表面にあたる内皮細胞は、高血圧、高血糖、ストレスといったさまざまな要因によって傷がつきます。その傷に、LDLコレステロールなどの血液中の過剰な脂質が蓄積すると酸化され、さらにマクロファージ(細菌などの異物や老廃物を食べて体を守る白血球の一種)に取り込まれて泡沫細胞となり、最終的にプラークが形成されます。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」