老親・家族 在宅での看取り方

夫婦ともに認知症で夫に先立たれた妻「パパのところに行けるわ」と眠るように…

写真はイメージ

 旦那さんが旅立たれてから、奥さまの認知症は急速に進行。食事の量が減り、転倒を繰り返すようになりました。娘さんのことを妹と思い、自分はまだ50代くらいのつもりで、「パパは帰ってこないね。変だね」などといつもお話しされていました。

「パパ、どこ行っちゃったのかしら」(奥さま)

「お墓ですよ」(娘さん)

「なんでも教えてくれて、尊敬していたの(旦那さんの思い出話をされる)」(奥さま)

 ある日、「訪問入浴後、血圧が低くなり、ぐったりしている」との連絡が入り、私たちは駆けつけました。

「短めのお風呂だったのに、入浴後に血圧がぐっと下がり64/38㎜Hgに。酸素飽和度は一瞬96ぐらい取れたんですが、70台にもなったり」(訪問入浴スタッフ)

「お風呂に入ると、血管が開いて血圧が下がることはだれにでもあることです。どこまで持ち直すかはっきりとわかりませんが、会いたい方には会えていますか?」(私)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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