老親・家族 在宅での看取り方

最期が近づいているなら…治療によるつらさからは解放してあげたい

写真はイメージ

「もう苦しいのも痛いのもいいよね。やっぱり自然の方がいいかなって。ただ、痰が一番ね、可哀想で。どうにかならないかなと」(妻)

「痰切りの薬は飲み薬しかないので、お薬が飲みにくくなってきている今の状態でしたら、座薬とかがいいかなと」(私)

「咳(せき)と痰で力が落ちちゃうし」(妻)

「そうですね。絶対に必要なもの以外はやめてしまいましょう。何かあった時にすぐ対応してくれる24時間体制の看護師さんの方が安心かと思うのですが、どうされますか?」(私)

「先生のよく知ってるところでお願いします」(妻)

 最期の時をご家族や隣人が見守る「看取(みと)り」。しかし私は、このご夫婦との関わりもそうですが、看取りとはその瞬間ではなく、患者さんと過ごしてきた期間やその過程なんだと、ここ数年考えるようになりました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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