「超低リスク」は進行が遅く生命を危ぶむ恐れが少ないため、ガイドラインでも治療しない経過観察が推奨されます。「低リスク」は甲状腺半分の切除ですが、私が若い方からセカンドオピニオンを求められたら、「超低リスク」同様に経過観察を勧めることは少なくありません。
その根拠が甲状腺専門の隈病院のデータです。甲状腺乳頭がんのうち1センチ以下の微小がんと診断された2153人を、すぐ手術を受けた974人と経過観察した1179人に分けて追跡。その結果、どちらも甲状腺がんで亡くなったケースはゼロでした。
経過観察グループのうち、10年間でサイズが3ミリ以上増大したのは8%で、リンパ節転移は3.8%。微小で悪化を示すようなケースは、その時点で手術をすれば、再発はないのです。若い女性は、自然に消えることもあります。「低リスク」は10年生存率が99%と、まず悪さをしません。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵