感染症別 正しいクスリの使い方

【サナダムシ】サケやマスの生食で感染 症状が軽く排便時に気づくことが多い

幼虫はサケやマスなどに寄生

 サナダムシのような寄生虫感染では、白血球の一種である好酸球が増加するのですが、好酸球はアレルギー疾患の時にも上昇します。昨今、寄生虫疾患は減少していることから、血液検査での好酸球上昇はアレルギー疾患をまず疑われることになるでしょうが、好酸球は本来、寄生虫などを攻撃し体を守る役割を担っているのです。

 サナダムシの治療(駆虫)には、吸虫駆除剤「プラジカンテル錠」の内服や、消化管造影剤「アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液」の服用・注入などが行われます。プラジカンテルの駆虫率は90~100%、アミドトリゾ酸ナトリウムの駆虫率は約78%とされています。

 東京の目黒には目黒寄生虫館という博物館があります。世界でも珍しい寄生虫専門の博物館で、入館料も無料です。興味のある方は一度訪問してみてはいかがでしょう。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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