がんと向き合い生きていく

7年前に大腸がんの手術を受けた男性が、熱中症の疑いで来院したが…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 このところようやく暑さが和らいできたように感じますが、今年の夏は暑い日が続き、テレビやラジオでは「熱中症の予防には喉が渇いてからでは遅い」「こまめに水分補給を」「コップ1杯の水を」と盛んに注意を呼びかけていました。

 そんな暑さが厳しかった時季のお話です。

 78歳のOさん(男性)が、ふらつきと頭痛で救急外来を受診されました。午前中、ひとりで自宅近くのグラウンドに高校野球の練習を見に出かけ、ふらついて帰ってきたとのことで、73歳の奥さんがOさんを病院まで連れて来られたのです。

 Oさんは、もうろうとしていましたが、奥さんに支えられながら歩いて来られました。血圧は上138㎜Hg/下72、脈拍は62でした。本人はぐったりした感じで、あまり話しません。

 奥さんによると、Oさんは7年前に大腸がんで手術を受け、病院の外科に5年間通院していたそうです。現在は、高血圧と糖尿病で、自宅近くの医院に2カ月に1回通院し、内服薬の治療を続けているといいます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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