インフル患者が急増…重症肺炎を避けるため肺炎球菌ワクチンを今すぐ打つべき

肺炎対策も重要

 国立病院機構東京病院感染症科部長の永井英明医師は「高齢者の肺炎は気付きにくい」と指摘する。

「肺炎の一般的な症状は発熱、咳、痰ですが、高齢者では微熱程度で発熱に気づかないことがある。咳や痰などの呼吸器症状に乏しく、元気がない、食欲がないという症状のみの人もいます。急に症状が進んで、治療が間に合わないことは少なくありません。肺炎は高齢者の大敵なのです」

 インフルエンザに感染すると、肺炎にかかりやすくなる。

「気管・気管支のバリアー機能が壊れ、繊毛の機能が低下し、肺炎で一番多い原因菌、肺炎球菌に感染しやすくなり、肺炎を引き起こす」(永井医師)

 季節性インフルエンザ流行時に肺炎で入院した患者の原因菌として、肺炎球菌が5割以上を占めていたという報告もある(倉敷中央病院による肺炎の原因菌が判明した患者の内訳)。高齢者は持病がある人が珍しくないが、そうなるとより厄介だ。肺炎の原因菌で一番多いのは肺炎球菌と前述したが、この肺炎球菌は小児の鼻咽頭に多数存在し、咳やくしゃみなどで飛沫感染となる。そうやって日常で発症する肺炎球菌感染症の中には、血液の中に肺炎球菌が侵入する重篤な侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)がある。IPDは持病があるほど発症リスクが高くなり、健康な成人を1とした場合、慢性肺疾患がある人で16.4倍、慢性心疾患で15.7倍、糖尿病で12.6倍、慢性腎疾患で25.2倍、がんで43.3倍の発症率だ。

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