サル痘改め「エムポックス」 日本でワクチンの臨床研究がスタート

米国ではすでにワクチンが登場している(C)ロイター

 2022年5月以降、エムポックス流行国への海外渡航歴のないエムポックス患者が世界中で報告されて人から人への感染が改めて注目され、日本でも22年7月に1例目の患者が確認されて以来、23年に入ってその数が増えている。

 エムポックスの潜伏期間は最大5~21日。感染すると、発熱、頭痛、リンパ節の腫れなどの症状が出て、発熱1~3日後に発疹が現れる。リンパ節の腫れは主に顎下、頚部、鼠径部に見られ、皮疹は顔や四肢に出現し、徐々に隆起して水疱、嚢胞、痂皮に変わる。多くの場合、2~4週間で自然に症状は軽くなっていくものの、子供や症状の程度によっては合併症が出たり、重症化することもある。

 合併症は皮膚の2次感染、気管支肺炎、敗血症、角膜炎など。最近はリンパ節の腫れといったこれまで特徴的とされた初期症状なしに進行することがある。また、病変が会陰部、肛門周辺や口腔などに集中し、全身性の発疹が見られないとの報告もある。性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長で、日本性感染症学会功労会員でもある尾上泰彦医師が言う。

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