第一人者が教える 認知症のすべて

「昼食の時間が遅れて…」で低血糖 生活の変化に薬は対応できない

ブドウ糖の代わりにジュースやアメ、氷砂糖でも構わない

 ブドウ糖で高血糖になることを心配する人がいますが、低血糖のままでいる方がはるかに危険ですので、躊躇せずブドウ糖を口に含むようにしてください。また、ブドウ糖はすぐに取り出せる場所に入れ、常に携帯してください。「机の引き出しに入れておく」などでは、その机から離れたところで低血糖を起こした場合対応できません。

 ブドウ糖がなければジュースやアメ、氷砂糖でも構いません。ただし、砂糖は分解されブドウ糖になるまで時間がかかるので適しているとは言い難く、人工甘味料は糖分が含まれていないので糖補充にはなりません。また、消化管からの糖の吸収を遅らせて血糖を下げるα-グルコシダーゼ阻害薬を服用している人は、砂糖ではブドウ糖に分解されないために、低血糖を改善できません。なお、ブドウ糖を手に入れたい場合は、主治医やかかりつけの薬局に相談するといいでしょう。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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