上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

若い女性の心臓病は遺伝的な冠危険因子がリスクを上昇させる

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 心臓病は、男性と女性で発症数や症状に差が表れる病気だといわれています。年齢によるホルモンバランスの変化、日常における生活習慣の違いなどが関係していると考えられています。

 今年5月にも、米国心臓病学会が発行する国際学術誌「Journal of the American College of Cardiology」で“急性心筋梗塞で入院した若年成人期~中年期の女性は退院後1年間の再入院リスクが高い”という研究結果が報告されています。急性心筋梗塞で入院した18~55歳の患者を対象に、退院後1年間に発生した再入院の原因と時期を男女間で比較したところ、再入院となるリスクは女性のほうが有意に高く、その原因は「冠動脈に関連する有害事象」が最多でした。

 同論文の著者は、「比較的若い女性の急性心筋梗塞患者における有害事象のリスクが男性患者よりも高いことは、過去数十年間の先行研究で明らかにされている。本研究の結果はこれを裏付けるもので、心血管治療において依然として見られるこの性差を早急に解消する段階に来ている」とまとめています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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