上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「ジェネリック」の急拡大が思わぬ健康被害につながる危険

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 このところ、全国の医療機関や薬局で深刻な医薬品不足が続いています。咳止め薬、糖尿病治療薬、止血剤、抗うつ薬など、さまざまな薬が入手困難になっていて、処方を断られたという患者さんも少なくないはずです。

 こうした医薬品不足の大きな要因とされているのが「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の供給不足です。ジェネリックは、簡単に言えば「先に開発された新薬(先発薬)と薬効成分は同じで、製剤に関わる基剤成分などが異なるものがある薬」です。新薬のような開発費がかからないため薬価が3~5割ほど安くなるので、患者さんの負担は軽減されます。また、膨らみ続ける医療費を抑制したい国もジェネリックの利用を強く推進したことで、そのシェアは2021年には80%近くまで大きく上昇しました。

 そんなジェネリックの急拡大が、結果的にいまの医薬品不足につながります。ジェネリックを製造・販売している製薬会社で不正が相次ぎ、多くのジェネリックの供給がストップしてしまったのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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