高齢者では足腰が弱く、視力やバランス感覚が衰えているため、転倒しやすい。また、降圧薬や睡眠薬、認知症薬、精神安定剤など服用している薬によっても、転倒しやすくなります。そのため、慢性硬膜下血腫は高齢者によく見られます。
その場合、「ぼーっとする」「物忘れがひどい」といった症状から、認知症と誤診されることも……。高齢者で認知症を疑う症状が出てきた場合、過去数カ月の間に転倒したことがないか、しっかり確認する必要があります。慢性硬膜下血腫であれば、治療によって、認知症のような症状はなくなります。
頭を打つことは、認知症のリスク上昇にもつながりかねません。米国とデンマークの研究グループが、「外傷で脳に損傷を負ったことのある人は、ない人に比べて認知症になるリスクが高くなる」ことを示した大規模研究の結果を、2018年、医学雑誌「Lancet Psychiatry」で発表しています。
第一人者が教える 認知症のすべて
酔っぱらって転倒…「異常」はすぐに出てくるとは限らない
「ぼーっとする」症状が出てきたら、過去数カ月の行動を確認