まず、初期の診断が難しい場合があること。若年性では初期症状がうつ症状として出ることがあり、精神疾患に間違われやすい。
物忘れの症状が、アルコール性健忘症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫といったアルツハイマー病以外の病気が原因になっていることもある。「(別の病院で)若年性アルツハイマー病と診断された」という方を詳細に検査したところ、アルコール性健忘症だった、というケースは一度や二度ではありません。
40代の患者さんでは若年性アルツハイマー病にアルコール性健忘症が絡んでいるケースも珍しくなく、アルコール性健忘症に対する治療で物忘れが改善するケースもあります。
次に、若年性アルツハイマー病は老年性に比べて進行が速い。
アルツハイマー病の発症に至る過程(アミロイドβの蓄積→タウタンパク質の蓄積→神経細胞の変性)をお話ししましたが、老年性の場合、これだけでアルツハイマー病を発症するのではありません。血管や神経細胞の老化が基礎にあり、そこにアルツハイマー病発症の要素が加わり、発症に至っているのです。
第一人者が教える 認知症のすべて