糖尿病は“治る”時代…いまこそ患者への偏見を是正すべきだ

糖尿病は予備軍を含めると2000万人が罹患している国民病

 たとえば「糖尿病になるのは食欲が抑えられず、運動嫌い、自己管理ができないだらしない性格の人」といった具合だ。「一度かかったら治らず、悪化するだけの病気」という先入観があり、インスリン注射など始めようものなら、「あの人は糖尿病の合併症を発症していずれ中途失明、慢性腎臓病から透析、動脈硬化などから脳梗塞や心筋梗塞になって死んでしまう」などと邪推されてしまう。

 それは単なる邪推にとどまらない。一度糖尿病と診断されると「健康な人より短命になりやすく他の加入者と不公平になるから」と生命保険の加入を断られて住宅ローンを組めなかったり、割高な保険料を押し付けられたりする場合が少なくない。さらには、結婚や就職の障壁になったりする。

 こうした差別は、知らず知らずのうちに糖尿病患者の心を侵食し、「自分は糖尿病だから」と消極的になり、自己肯定感を喪失するケースもある。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に聞いた。

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