Dr.中川 がんサバイバーの知恵

直腸がん克服の女優・立花理佐さんが復帰…化学放射線療法で進行がん消滅の可能性

立花理佐さん(C)日刊ゲンダイ

「2020年に直腸がんと診断され、腸、子宮、卵巣、膣の摘出手術を受けました」と告白した女優の立花理佐さん(52)がラジオ番組に出演。これまでのつらさやがんを克服した喜びを語ったことが話題です。ステージ3bからの生還は、何よりだと思います。

 その後の報道によると、まず術前化学放射線療法を受けてから、手術に臨んだそうです。化学放射線療法とは、抗がん剤と放射線を同時に併用する治療のこと。これがポイントです。

 結論からいうと、術前化学放射線療法を受けた人は、20%が直腸がんが消失。30%はステージが改善します。欧米では、手術せずに化学放射線療法のみでがんが消失した人を経過観察する試みが広がっていて、がんが消失した人のうち70%は手術なしで治るとされているのです。3割程度が再発しますが、9割は手術で切除可能と報告されています。

 このことから分かるのは、進行した直腸がんでも化学放射線療法によって手術不可能だったケースが手術可能になったり、治ったりすることが少なくないのです。この事実は見逃せません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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