第一人者が教える 認知症のすべて

若年性も老年性も「私は絶対にならない」とは言い切れない

認知症は身近な病気(C)日刊ゲンダイ

 12月5日付号の本欄で、「若年性はいわば“ピュアなアルツハイマー病”」と述べました。老年性は脳の老化が基盤にあり、そこにアミロイドβの蓄積がもとになって起こる脳の神経細胞の変性・死滅で発症する。一方で、若年性アルツハイマー病は老化がない状況で発症する。なぜそのようなことが起こるのか? 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、アルコールの過剰摂取、運動不足、不規則な生活など要因はさまざま考えられ、ひとつに絞ることはできません。ただ言えるのは、若年性アルツハイマー病の数は少ないとはいえ、老年性と同様に、「私は絶対にならない」とは言い切れない病気だということです。

【注】日本医療研究開発機構認知症研究開発事業による「若年性認知症の有病率・生活実態把握と多元的データ共有システムの開発」(2020年)から

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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