通常、アルツハイマー病は、記憶をつかさどる海馬(側頭葉の内側)と頭頂葉が病変の中心となります。しかし、若年性では、前頭葉、側頭葉も含めた広い範囲がダメージを受けるので、症状が多彩になりやすい。また、「巣症状」が、老年性より出やすいことも指摘されています。巣症状の代表的なものは次の通りになります。
【失語】音として聞こえているが、言葉や話として理解すること、自分が思っていることを言葉として表現することが困難。
【失行】日常的な動作や行動が困難になる。例えば、着替えができない、道に迷うなど。
【失認】自分の体の状態や物との位置関係、目の前にあるものが何かを認識するのが困難になる。
若年性では、仕事や家事、子育てなどで社会との関わりが多く、周囲の人とのコミュニケーションを取りながら行動しています。そのため、うまくいかないことが増えるとイライラしたり落ち込んだりして、結果、不安、うつ、興奮、妄想などの行動心理症状も出やすくなる。
若年性も老年性も使う薬は共通していますが、若年性アルツハイマーの患者さんには、不安やうつなどを改善するために、抗不安薬やSSRIなど精神疾患の治療に用いる薬を処方することもよくあります。
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