下肢にしびれや痛み…脊柱管狭窄症の最新治療「FEL」は手術後3時間で歩ける

歩くのがつらいと感じているなら高齢者でも積極的な治療の検討を(C)日刊ゲンダイ

「FELでは、皮膚に小さな穴を開け、そこから内視鏡や手術器具を挿入し、モニターで確認しながら、狭窄の原因になっている黄色靱帯などを取り除きます」(古閑院長=以下同)

 脊柱管狭窄症の内視鏡手術には、狭くなった脊柱管を広げる「MEL」という方法もある。これも低侵襲ではあるものの、傷の大きさは18~20ミリで、入院期間は4~6日。FELはそれらを下回る。

「FELの方がMELより内視鏡の外径が2分の1ほど小さい。筋肉や骨、関節などの正常組織を傷めずに手術を行え、背骨についている筋肉を剥がすことが最小なので、脊柱の安定性を損ないません。さらにFELの手術器具は水を出しつつ吸い込むという水の環流ができるようになっており、組織が酸素に触れず瘢痕化が生じにくい。術後の癒着も起こりにくい」

 2020年、FELと、従来の内視鏡下手術であるMELとの治療成績を比較した論文を古閑医師は発表している。痛みの程度や術後満足度は2つの治療法で有意差は認められなかったが、術後3カ月後の満足度はFELが7.5、MELが6.9だった(0から10までの11段階の評価で、10が最高の満足度)。

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