医者も知らない医学の新常識

「補聴器」が寿命を延ばす? ランセットの姉妹誌で研究報告

耳の聞こえの悪くなる大きな原因は加齢

 健康診断では必ず聴力検査を行います。これは聴力の低下がコミュニケーションに影響を与えることや、仕事の騒音などが聴力の低下に結び付くことがあるからです。

 耳の聞こえの悪くなる大きな原因は加齢です。ただ、多くの人は年齢を重ねて「最近、会話が聞き取りにくいな」と思っても、年のせいだから仕方がないと重要視はしないのではないでしょうか?

 しかし実は、聴力の低下は認知症やうつ病などのリスクを高め、健康寿命を短くすることが科学的な研究で明らかになっています。つまり、聴力低下は治さないといけない病気なのです。

 現時点で聴力低下の最も一般的な治療は補聴器の使用です。適切に補聴器を使用することで聴力低下の悪影響を予防することができます。しかし多くの高齢者が、実際には補聴器を使用していないか、使っていても面倒でやめてしまうことが多いのが実際です。そもそも補聴器を使用することで聴力低下による寿命の短縮は予防できるのでしょうか?

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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