医者も知らない医学の新常識

トマトで高血圧を予防できる?1日半個以上で36%リスク低下

トマトをたくさん食べている人ほど血圧は低めに

 トマトは世界中で食べられている野菜で、そのままでももちろん、煮込みやソースなどの材料としても欠かせない食品です。その主成分は水分ですが、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などの微量元素や、AやCなどのビタミン類を多く含み、効率的にそうした栄養を摂取出来る食品です。食物繊維やカリウムも豊富で、体の環境を整える効果もあります。

 また、その赤さの源であるカロテノイドのリコピンは、強い抗酸化作用を持ち、動脈硬化の進行予防などにその効果が期待されています。最近、このリコピンには、血圧を上げるホルモンの働きを抑制し、血管を拡張させるなど、血圧を下げる働きのあることが報告されています。

 それでは、実際にトマトを多く食べている人は、高血圧になりにくいのでしょうか? 昨年の心臓病予防の専門誌に、スペインでの住民研究の結果が報告されています。心臓病や脳梗塞のリスクが高い中高年の男女7056人を3年間観察したところ、トマトをたくさん食べているほど血圧は低めになる傾向が認められました。

 特にトマトを1日半個以上(110gより多く)食べている人は、あまり食べない人と比較して、高血圧になる危険が36%低下していました。血圧が高めで気になる人は、トマトを1日半個以上食べることが、手軽で有効な予防法と言って良いようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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