老親・家族 在宅での看取り方

「元気だから放っておいて!」と主張する91歳女性に提案した案は…

患者さんの思いには可能な限り配慮する

「今元気なのは本当にいいことですが、ご自宅で一人で何かあったとき、すぐ駆けつけてくれるお医者さんや看護師さんがいた方がいいと思うんですね」(CM=ケアマネジャー)

「私のことは放っておいて! 通えますから」(本人)

 かつては看護師として小児科の病院で働いていたという女性。いつ何があってもおかしくない状況であり、通院することが大変であることは、ご本人が誰よりもわかっているはずなのに、訪問診療を断り通院することに固執されます。

「では折衷案にしましょう。看護師さんも毎週じゃなくて2週間に1回、ヘルパーさんもなしにして、自分で通ってもらう。でも何かあったら緊急対応してくれる訪問医療や訪問看護さんを頼ってくださいね」(CM)

「わかりました」(本人)

 こうして在宅医療を担保しつつ当院の外来受診が始まりました。時に当院までの道のりで迷われるときもありましたが、そのつどスタッフがお迎えに行くなど柔軟に対応しました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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