では、E4型保因者では? 80歳以下では、肥満だろうとそうでなかろうと、認知機能の低下度には有意差がなし。認知症の発症においては、E4型保因者では肥満が発症を顕著に抑制しているとの結果。記憶力においても、E4型保因者では肥満の人が有意に低下度が少なかったのです。また、アルツハイマー病の原因物質であるタウの蓄積の程度は、肥満者でない人の方が有意差を持って上回りました(表参照)。
この研究から読み取れるのは、次の内容になります。
・アポEのうち、E2型保因者は遺伝子的にはアルツハイマー病になりにくいが、肥満があると加齢でリスクが高くなる微小梗塞を起こしやすく、認知機能が低下しやすい(=加齢による認知機能低下が、肥満で促進される)
・E4型は強力なアルツハイマー病リスク遺伝子で、保因者はアルツハイマー病になりやすいが、肥満があると認知症の発症は抑制される(=病的な認知症発症は、肥満で抑制される)
第一人者が教える 認知症のすべて