第一人者が教える 認知症のすべて

交流は認知症予防になる…幅広い年齢層が毎晩集まり真面目な話から軟らかい話まで盛り上がる

酒を飲み交わし話をするために漁村へ(写真はイメージ)/(C)iStock

 50代の女性はこの6年ほど、北日本のある漁村をしばしば訪れているそうです。

 新幹線の停車駅から電車とバスを乗り継いで約4時間、自宅のある東京からだと7時間かかり、行きやすい場所とは到底言えません。

 車を運転できないので、滞在中は宿で仕事や読書をするか、近隣を散歩するか。宿に温泉があるわけでもない。

 それなのに年に数回、コロナ前は2カ月に1度くらいの割合で足を運んだこともあったのはなぜか? 女性いわく「人」。

 漁村に出かける日程が決まったら、女性はすぐに、最初に旅行した時に出会った知人にLINEを送ります。漁村滞在中は毎夜、知人とその仲間の漁師さんたちの集まりに加えてもらう。

 漁村の夜は真っ暗で、とても静か。飲食店は基本的に昼しか営業していません。

 女性の知人や漁師さんたちは独自に集まる場所をつくり、毎晩のように酒を飲み交わしているそうで、その雰囲気が素晴らしいのだそうです(でも、毎晩の深酒は要注意です)。

1 / 5 ページ

新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

関連記事