東洋医学を正しく知って不調改善

東洋医学からみた健康の秘訣は…不調が病になることを防ぐ

天野陽介(提供写真)
恬淡虚無が健康の秘訣

 前述の「黄帝内経」には、さらに次のような文章があります。

「冷えや風など外から体に入ってくる病の原因は、季節性を考慮して避けるようにする。恬淡虚無であれば、体の働きはしっかりするし、精神は安定する。このようであれば病に襲われることはない」

 心静かで雑念がなければ、病気にならない――。つまり、恬淡虚無が健康の秘訣。恬淡虚無であれば、欲は少なく、不要にビクビクせず、肉体を働かせても過度に疲労しない。食べたものをおいしいと思い、自身が置かれた環境や風習に満足し、他人を羨むことはありません。

 みなさんも「恬淡虚無」を参考にしつつ、日常生活改善やセルフケアを実践し未病を治めていただければと思います。そのためにも普段から漢方薬や鍼灸を活用することも大いにおすすめしたいところです。(おわり)

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天野陽介

天野陽介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員も務める。日本伝統鍼灸学会、東亜医学協会、全日本鍼灸学会、日本医史学会、日本東洋医学会所属。

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