歯や歯茎の健康が損なわれると、しっかり噛めないため、硬いものが食べられないなど食事が制限され、栄養不足になったり、嚥下機能にも影響する。さらには、皆と同じものが食べられないことで社会的交流や自己肯定感が低くなるなどの悪影響が出やすい。
「そのため、1989年から政府と日本歯科医師会が8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動を提唱し、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを奨励しているのです」
本数の20本には根拠がある。国民健康・栄養調査をはじめ、歯の本数と食べ物を噛む能力(咀嚼力)には関連があり20本以上あれば硬い食品でもほぼ満足して噛めることが報告されてきたからだ。
■歯垢を悪化させない
問題は、口の健康の大切さが科学的に明らかにされ、その重要性を多くの高齢者が認識して歯磨きを続けていながらも、日本人の2人に1人は歯周病であり、大人の虫歯も多い現実は変わっていないことだ。