60歳以上でRSウイルス感染症により入院した際、基礎疾患がどれくらい増悪したかを報告したリポートでは、喘息が50%、COPDが80%、うっ血性心不全が38%だった。
RSウイルス感染症は、インフルエンザのように急に強い全身症状が出て数日で回復期に至るのではなく、4~5日間の潜伏期を経て、発熱・鼻汁といった上気道炎が2~3日、咳・喘鳴・呼吸困難が4~5日と症状がだらだらと続き、回復まで時間がかかる。
「高齢者ではQOL(生活の質)、ADL(日常生活動作)への影響が大きく、RSウイルス感染をきっかけに、プレフレイルからフレイルへ、そして寝たきりや介護へと移行することもある」
入院となればなおさらだ。RSウイルス感染症で入院した成人患者の「24.5%が在宅ケアを必要」「26.6%が退院後3カ月以内に再入院」「入院後1年以内の死亡率は約25.8%」といった報告もある。