老親・家族 在宅での看取り方

患者本人は認知症…治療決定に関わる家族は信条で輸血を拒否

写真はイメージ

 私はこのようにお話ししました。

「血液のご病気で異常な細胞が増えてしまっている状態で、何かあったら一気に悪くなってしまう恐れがあります。今も目を見ると貧血があると考えられます。酸素をうまく運べなくてフラッとしてしまうこともあるかもしれません。対症療法として輸血などがありますが、そちらは望まないと伺っています。お変わりないですか?」(私)

「はい」(奥さん)

 ちなみにご本人は無宗教で、認知症が進行しており、病状の把握ができているかはっきりしないとのこと。

 それでも私たちはこれから行う在宅医療についてご本人とご家族に説明をします。奥さんや娘さんは積極的な治療は望まないとのことでしたが、その考えは変化してもいいこと、血液検査や薬の処方だけでなく、場合によっては点滴をすることもでき、体調の変化を定期的に診ながら対応することをお伝えしました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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