第一人者が教える 認知症のすべて

100歳で1人暮らし!娘のために楽しみながら料理を作るスーパー母さん

料理は活動量を高める上でも非常にいい(C)iStock

 ママのお母さんは、病院とはほぼ無縁の病気知らずだそうです。

■機能が低下したのは脳の一部分 ほかの動きを高めれば脳機能維持

 脳寿命を延ばす方法の一つとして講演などで私がよく話すのが、脳の代償機能の働きを高めることです。

 年を取れば、誰だって脳の機能が低下する部分が出てきます。しかし、それは脳の一部であって、ほかの正常な部分の働きを高めれば、脳の神経も機能を維持できます。 

「お母さん」も、「娘のために料理をする」という気持ちが、脳を含む体全体をいい方向に持っていっているのでしょう。料理を作るには、食材の買い物に行かなければならない。食材を冷蔵庫やストック棚から取り出し、切ったり、すりおろしたりし、料理後は使った調理器具や皿を洗って片付けなければならない。

3 / 5 ページ

新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

関連記事