「不登校」「ひきこもり」を考える

親が身につけるべき「正しい話の聞き方・伝え方」10原則~⑧⑨

写真はイメージ(C)iStock

 実際、自死行動では、感情の感度が低下する「解離」、つまり感情不全との関連も報告されています。だから、気の済むまで傾聴・共感をすることこそが本人のために望ましい関わりと言えるのです。一方で、「練炭を買い込んでいる」「部屋から遺書の下書きが見つかった」といった、自死に直接つながるような危険な兆候や行動が見られたら、「本気で死ぬ気はないんだ」と高を括るのではなく、主治医や警察、保健所や精神保険福祉センターといった行政機関にもリスクマネジメントとして相談しましょう。どちらであっても、共感なくただ正論を説くことが有害無益であることには変わりありません。(つづく)

▽最上悠(もがみ・ゆう) 精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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最上悠

最上悠

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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